世の中の変わりようが凄い。
「地球ゴマ」が消えているなんて。
がっかりですが、まったく知りませんでした。
このコーナーでは、昔あった「物」を思い出しています。
私も茹でガエル状態で「のほほん」と生きてきて、世の中の変化に気付きませんでした。
「地球ゴマ」は優れものだった
「地球ゴマ」は科学教育玩具です。
通常のコマは、全体が回転しています。
「地球ゴマ」は回転する円盤部分と軸が分かれています。
そのため、軸を傾けたり、軸を糸の上に乗せて綱渡りをさせたりできます。
「地球ゴマ」は、ジャイロ効果の原理を応用した玩具です。
※ジャイロ効果は、物体が自転運動をすると姿勢を乱されにくくなる現象
自転運動する物体は、自転軸の方向を保つ性質と自転の姿勢を変えにくい性質があります。
そこに外部から自転軸を回すようにモーメントが加えられると、モーメント軸および自転軸の両方と直交する軸について振れ回り運動をする性質があります。
ジャイロスコープ、それを応用した船舶や航空機のオートパイロット、船舶や航空機の横揺れを防ぐジャイロスタビライザーなどもジャイロ効果の原理で説明されます。
「地球ゴマ」は、大学や高等専門学校、科学クラブなどでも実験教材としても活用される優れものです。
「地球ゴマ」が消えたのが惜しい
「地球ゴマ」は、株式会社タイガー商会が製造していましたが、2015年に廃業しています。
経営者や職人の高齢化、後継者の不在が理由のようです。
その2年後、遺伝子は受け継がれ、職人のひとりがタイガージャイロスコープ株式会社を立ち上げ、製品化しています。
名前は「地球ジャイロ」、加工精度を飛躍的に進化させています。
産経WESTの記事↓
「地球ゴマ」遺伝子次いだ「地球ジャイロ」…職人魂の進化、製品化18000円(1/3ページ) - 産経ニュース
タイガージャイロスコープ株式会社のホームページ↓
ただ、以下のことは知っておくとよいです。
タイガージャイロスコープ株式会社は、株式会社タイガー商会を引き継いではいません。
ホームページに以下の断り書きがあります。
「タイガージャイロスコープおよび地球ジャイロは、タイガージャイロスコープ株式会社の登録商標です。当社は、株式会社タイガー商会および同社のブランドである地球ゴマとは何のゆかりもありません。」
なので「地球ゴマ」に関することは問い合わせできません。
私の子供の頃の「地球ゴマ」は、普通に子供の小遣いで買えました。
一方、「地球ジャイロ」は、大人の小遣いでも高くて買うのをためらいます。
その意味でも、やはり別物となるでしょうか。
価格も含めて「地球ゴマ」が消えたのが惜しまれます。
「地球ゴマ」のような「物」は他にはないからです。
おわりに
「地球ゴマ」を思い出し、現状を調べてみました。
だんだんと、子供の頃の楽しい記憶がよみがえってきます。
「良いものは残る」と言われるけれど、自然と残るわけではないので、その他にも必要なことがあるようですね。
・社会の環境やタイミング
・経営者の事業存続の手腕
・後継者づくり
・職人の確保
・特許取得と模造品や粗悪品の流通阻止
「良いものを残す」条件はいくつか考えられます。
「地球ゴマ」の最盛期は昭和の中頃でした。
その最盛期に遊ぶことができたことは、いい経験でした。
ずっと同じであることはつくづく難しいと思います。。
世の中から消えていく「物」が多いのは寂しさを感じます。