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「たこ足配線は危険」の見出しは言葉足らずで誤解を招く

たこ足配線は危険」の見出しを見て思います。
たこ足配線は電源タップを使うので、電源タップが販売されること自体がおかしくなります。

たこ足配線は危険」は「自動車は危険」と言っているようなものですから、誤解を招く見出しです。

職場の話しですが、トラッキング火災のニュースが大きく報じられると、配線のチェックが行なわれます。

・配線は床に直置きしない
たこ足配線はしない
・テーブルタップの差込口を下に向け、埃が溜まりにくくする
・掃除の際は、必ずコンセント周りを清掃する
などと注意喚起の張り紙がされ、安全委員が確認して回ります。

たまたま安全委員に頑固な人がいると大変です。
危険ではないのに「たこ足配線」というだけで指摘を受けます。

定格容量をオーバーしていないので、危険はないと言っても埒があきません。

そもそも「たこ足配線」の定義さえ曖昧です。

「電源タップ(テーブルタップや三角タップ)の使い方」という視点で語るべきと考えます。


たこ足配線」の意味

たこ足配線の状態とは
・同じコンセントからテーブルタップやマルチタップなどを複数使用する状態
・三角タップに三角タップを重ねて付けている状態
・テーブルタップに三角タップを付けている状態
・テーブルタップを2つ連結している状態

たこ足配線ではない状態とは
・1つのコンセントに1つの三角タップを付けている状態
・テーブルタップの全てのコンセント口に電源プラグを挿している状態

Wikipediaによると
たこ足配線とは、テーブルタップなどを複数使って一つのコンセントに複数の電気機器を接続することである。コンセントをタコの身体に、多数の配線を足に見立てて作られた俗語である。」
と書かれています。

タコ足配線はイメージから生まれた言葉なんですね。
なので学術的な定義はないのでしょう。

昭和30年代の一世帯あたりの電力供給量が10A程度の時代に生まれた言葉のようです。
壁のコンセントも少ない時代で、電気機器は照明程度の機器しかありませんでした。
戦後の復興とともに様々な電気製品が増え、コンセントの数が足りなくなります。
そこで器具(電源タップ)を付け足して照明以外にも電気を配線しはじめます。
その姿がいかにもタコの足のように見えたところからタコ足配線と呼ばれるようになったそうです。

知っておくといいのは、1つのコンセントに1つの電源タップを付けているだけなら「たこ足配線」ではないことです。


たこ足配線における「危険な使い方」

危険な使い方を見ていきます。

容量をオーバー(過電流)すると危険とは
・コンセントの定格は一般的に15Aなので、そのコンセントの使用量が15Aを超えるとき
・部屋毎に別回路で安全ブレーカーの定格が20Aとしたら、その部屋の使用量が20Aを超えるとき

通常は安全ブレーカーの定格は20Aです。
この場合、1700Wの家電を使用していてもブレーカーは落ちません。
しかしこの状態で使用し続けると、コンセントや電線が熱を持つため危険です。
コンセントの定格を超えてしまうからです。

コンセントを使う注意点は
・二口コンセントは上下に2つあるが、同じ回路を使用しているので、合わせて使用量が15Aを超えないこと
・その部屋にコンセントが複数ある場合、通常は同じ回路となるので、その部屋中のコンセントを合わせて使用量が15Aを超えないこと

使用量の限度は、安全ブレーカーの20Aではなくて、15Aを超えるときなんですね。

たこ足配線」になると、回路内の総使用量を把握し辛くなります。
そのため「たこ足配線」は避けようという話しになるでしょう。


たこ足配線をしたら注意するポイント

たこ足配線をしたら、容量オーバー(過電流)に注意するのはもちろんですが、他にも注意するポイントがあります。

それは、接続部が増えることから生じます。
電源タップを使うと、コンセント口に力が集中し挿し込みが緩くなりがちです。
同じコンセントに複数の電源タップを使えば、さらに挿し込みが緩くなる恐れがあります。
接続部や込み入った配線に埃が付きやすくなります。
埃は、そのまま滞留していき、コンセントに熱がこもって危険です。

そのため、こまめな点検と清掃が必要となります。


たこ足配線」のまとめ

たこ足配線」とは、電源タップ(テーブルタップや三角タップ)を重ねたり連結したりして使うことでした。
そこから、1つのコンセントに1つの電源タップを付けているだけなら「たこ足配線」ではないことが分かりました。

頭ごなしに「たこ足配線は危険」と言うなら、電源タップの用途はなくなります。

単独の電源タップは、必要なときは使うといいでしょう。
どうしても「たこ足配線」にするしかないときは、定格内で使用すること、埃を取り除くこと、接続状態を確認すること、などがチェックポイントになります。


おわりに

通常、単に「自動車は危険」とは言いません。
「自動車を運転する際に注意すること」とか「自動車の近くでは注意すること」といった言い方が普通です。
なのに「たこ足配線は危険」という見出しは短絡的で言葉足らずです。

ただ、現況では、検索キーワードやQ&Aサイトも「たこ足配線が危険な理由」などの言葉が目に付きます。
たこ足配線は危険」みたいな見出しは無くならないなー、と思えます。

センセーショナルな見出しが好きな報道記事は無理としても、せめて専門家のWebページでは正しく伝える見出しを使ってほしいものです。

筆者は電気の専門家ではありません。
ですが、「たこ足配線」の意味を知りたいし、「電源タップの危険な使い方」の知識を得たいと思った次第です。

今回は、調べたことを記事にしました。

内容が役立てば幸いです。