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初期消火できるかできないか、その判断とは?

一般的に、火災発生から3分以内に天井に火が燃え移ります。
そうなると初期消火はできない状態です。

多くの場合、火災が発生して拡大し、そして気付きます。
火災に気付いたときは何秒か何分か経っているのが実際で、初期消火できる時間は僅かです。

火災の初期消火ができるのは発生から2分までと、よく言われます。
これは知識として覚えておくとよいでしょう。
ただ、現場で役立つのは、初期消火が可能なレベルか否かの見極めです。

この記事では、建物火災で消火器を使うことを想定して「初期消火できるかできないかを判断」する材料を紹介します。

初期消火は重要

火災は拡大を防ぐことが重要です。

初期消火で消火器が使われる率は20%くらいです。
しかし、いったん消火器が使われたときの消火率は80%ちかくになります。

初期消火できれば、火災対応としては理想のかたちです。
そのためには、火災発生後すみやかに消火活動を始めることが決め手となります。


初期消火はあきらめも肝心

火災を発見した時点で火が広がっていて、初期消火が不可能なこともあります。
その場合は、いたずらに頑張るのではなく、あきらめが肝心です。

消火活動により、火傷したり生命を失っては本末転倒です。
身の安全を最優先にしてすぐに避難する必要があります。


初期消火できるかできないかを判断する材料

自宅の火災ならなんとしても消したい、と思うのは誰しも同じです。

しかし火災を一見して、初期消火が可能なレベルか否かを見極めることも必要です。

そのため、判断する材料をまとめます。

判断材料「炎が目の高さになる」

消火器での初期消火が可能なのは天井に火がまわるまでと言われます。
ただ、自身の安全を考えるなら、炎が目の高さになるまでです。

天井に炎がとどく、又は天井に燃え移った時点で消火器による初期消火はできません。

炎が目の高さになってから20秒後には天井に火がつき燃え広がってしまったという実験結果もあります。
天井に炎がとどくと、炎が横に走り、自身の背後にまわって退路を塞ぎます。
そこまで踏み止まって粘ることは命取りになります。

判断材料「煙が天井に張り付くように流れている」

消火のため火元へ向かう際に、煙が天井に張り付くように流れていたら初期消火を諦めましょう。
恐らく、火が延焼している状態でしょう。この場合は、奥に進むことは止めてください。

煙は、火災初期は10cmくらいの厚さで天井に張り付くように流れます。
そして出口の方に拡がっていきます。
温まった煙が、出口に向かって進むうちに冷やされると、それまで天井に張り付いていた煙が床の方に一斉に降りてきます。
そうなると、周囲が煙で充満し、出口や自分の逃げる方向が見えなくなります。
ほとんど瞬時にそうなるので、パニックになります。
煙が天井に張り付いているのを見たら、すぐに避難しないと逃げ遅れます。

なお、こちらの判断材料は、ワンルーム物件のような玄関ドアを開けたらすぐ居室の間取りなら、ほぼ関係がありません。

判断材料「煙の色が黄色や黒色になっている」

通常、何かに着火して煙が出始めると、次第に色が変わっていきます。
白色から灰色に、そして黄色っぽくなり、さらに黒色に変わります。
黄色っぽくなると毒性が強いガスと判断できます。
そうなる前の時点で、煙を吸わないようにすることが必要です。

煙の色が黄色や黒色になっていたら、直ちに避難しないと身体に危険が及びます。


まとめ

初期消火できるかできないか、判断材料をまとめました。

一般家庭では、「炎が目の高さになる」判断が中心になります。

大きな屋敷や公共施設では、「煙が天井に張り付くように流れている」と「煙の色が黄色や黒色になっている」の煙関係の判断が加わってきます。

建物内の煙は厄介です。
初期消火の主体は一般人です。
防煙マスクをしていないし、用意されてもいないでしょう。

多くの場合、煙が大量に発生すると火元に近づけません。
頑張らずに、あきらめることも二次災害を避けるために必要です。

ただ、火災を発見したら、初期消火の前に、着手することがあります。
それは、周りに知らせることや、消防に通報することです。

優先順位を間違えないことが肝心です。
一秒でも早く通報することの影響は大きいでしょう。
早く通報できれば、その後の判断がより落ち着いてできるというものです。

以上、知識として役立てていただけたら幸いです。