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管理費と修繕積立金を払わない住人 ~分譲マンションの理事長体験談~

 

昔のことですが、分譲マンションの理事長をやったことを思い出しました。

あのころは大変だったなー、と記憶がよみがえってきます。
管理費と修繕積立金の滞納者に当たってしまったからです。

今回はそのことを書きます。
このときの大変さがあって、分譲マンションはこりごりと思いました。
いまの戸建てに移るきっかけでもあります。

戸建かマンションのどちらがいいかという議論を見かけます。
どちらかと言うと分譲マンション派だった私が戸建に住んでいるので、戸建かマンションで迷っている方には参考になると思います。

 

分譲マンションの理事長になった

前に住んでいた分譲マンションでの経験です。
新築で購入してから7年目に管理組合の理事長になりました。
役員は7名で構成、うち1名が理事長、1名が副理事長、1名が会計、1名が監事、3名が理事です。

ちなみに戸数は34戸です。
新築物件で住人は最初に入居した方ばかりです。

輪番制でいつかは誰もが役員になります。
私も役員になる番がきました。
管理会社に管理を委託しているので、急な修繕や事件がない限りルーティンワークです。
ルーティンワークは、定時総会(年1回)と、その際に行なう駐車場所のくじ引き(1年で場所替え)です。
日常としては、保守保安等の連絡を掲示板に出すことと、自治会関係の回覧や各戸配布です。
普通の人ならできる役目です。

その年の役員が集まり、お互いに顔ぶれを見て理事長と副理事長と会計と監事を決めます。
誰もが理事長になることを渋ります。そんななか私に白羽の矢が立ちます。
管理会社も賛成で私にやって欲しいとい言います。
断りにくかったし、適任がいないように見えたので、何事も経験と思い引き受けました。


管理費と修繕積立金を払わない住人

理事長になる時に知らされました。
管理費と修繕積立金を払わない住人が1人いることです。
うわさには聞いていたのですが、その詳細を知って驚きです。

もう2年くらい支払いがないではありませんか。

駐車場代も払われていませんでしたが、前役員のときに、管理会社が車を撤去するように通告し、滞納者は車をどこかに移動したとのことです。
どうやら他の駐車場を借りて車を置いているようです。
このことから、払いたくないという確信が読み取れ悪質です。

そういうことが前年度にありました。
なので今後の未払いで溜まっていくのは管理費と修繕積立金です。

理事長としてすることは、支払い督促です。月に1回は督促します。
必ず2人以上で訪問します。だいたい管理会社が同行しますが、滞納者は部屋を真っ暗にして居留守を使うので会えません。
そのため月に4回くらい訪問します。それで1回会えたらいい方です。


管理会社の情報は正しいか

どうやら滞納者は分譲マンションのローンも滞納ぎみとのこと。

管理会社が言うには
・ローンの返済状況は、銀行に聞いても教えてくれない
・銀行はなかなか強制執行をしない
・滞納者は管理費の時効を狙っていると考えられる
・時効を止めるには裁判か支払督促といったことになるのでハードルが高い
・請求だけ繰り返していたも、時効になってしまう
とのことです。

この話しを聞いたときは、根拠があって言っているのだろうと思っていました。
しかし、法律的に何か違うなと思えます。

後日、この話しが根拠のないものであることが分かってきます。


管理会社の情報を鵜呑みにしないほうがよい

ここから私が行動を起こします。

勤め先の組合が提携している弁護士を訪ねて相談しました。
30分までなら相談は無料です。
そこでのアドバイスは、銀行に聞いてみるのがよい、とのことです。
管理会社の話しと違うかもしれない、と言います。

そこで、滞納者のローンの返済について、その銀行に知人がいるので聞いてみました。

その結果
・滞納者個人のことなので具体的には言えないが滞っていることは確か
・この滞納者の状況についての相談は私が初めてで、管理会社からのコンタクトはない
強制執行も条件が整えば行使するので、管理会社は先入観で言っている
ことが分かりました。

次に消滅時効の中断についても調べました。
※2020年の民法大改正で「時効の中断」を「時効の更新」と言い換えている

管理費は何もしないと消滅時効にかかります。
消滅時効を中断するには、大きなところで「請求」と「承認」があります。
管理会社は「請求」の面だけを言っていて、「承認」を知らないようです。

承認行為を一般の言葉で言うと
・請求に対して「待ってくれ」と言う
・請求に対して、利息の支払いをする
・請求に対して、一部の支払いをする
これらの行為をすると「承認」したことになります。
この「承認」は特別の方式を要しません。
ただ、証明は必要なので、それらの内容を分かる形にして記名押印させれば万全です。

じつは理事長在任中に、滞納者から管理費の支払いを受けることができました。
一月分にもならない金額ですが「承認」になります。

管理会社の情報を鵜呑みにしないほうがよいことをつくづく思います。


分譲マンションのローンと管理費と修繕積立金の滞納者の末路

そうこうして、ようやく理事長の任期を満了します。
次の年度も引き続き大変とは思いました。

そしてようやく動きがありました。

ついに滞納者がマンションから退去することになりました。
分譲マンションの売却額とローン残額を考えて決断したのか周囲の勧めがあったのか、経緯は知りません。
ただ、いずれこのようになるという方向に落着したと思います。

悲しいことは、滞納者の奥さんは小学生の男の子を連れて別れることになりました。
滞納者は、いつも顔を伏せているので覚えていません。
しかし、その奥さんと子供は少し知っているので不憫でした。
生活を立て直して欲しいと願っています。


どちらかと言うと分譲マンション派だった私が戸建に住んでいる

私はマンションが好きです。
そのものが好きなのですが、理由は他にもあります。
・セキュリティなメンテナンスを考えると暮らしやすい
・分譲タイプは壁が厚いのでプライバシーを守れる
・地域との付き合いがほどほどでよい
・夜間、遅い帰宅でも安心感がある
・戸建より転売しやすい
などです。

もっとも好きなのは、見た目のお洒落さと都会風に見えることや、ゴミ出し場も敷地内にあり、全体の外観も室内も奇麗だからです。
ローンが終われば管理費と修繕積立金だけで快適に住めます。

しかし理事長をやったことで、いいことばかりではないなと思いました。
先に、役員が集まり理事長を引き受けたとき、適任がいないように見えたと書きました。
じつは、役員のなかで母親を出してきた世帯があります。
※世帯主は家に居るのにおばあさんが来た
また、夜勤があったりして出れないことが多い、と最初から言っている役員もいます。

集まった人を見ると、マンション内のことは管理会社に任せればいい、という感じです。
住人の付き合いはそこそこでいい、という感じも受けます。
せめてマンション内ではコミュニケーション取ろうよ、と考えてしまいます。

こうして感じ始めたことは、理事長経験や滞納者との遭遇や管理会社のレベルを知ったことと合わさり、戸建を見直すきっかけになりました。

どこに住んでもコミュニケーションは大切です。
マンション内のコミュニケーションをとるのは地域のコミュニケーションをとるのと変わりません。
マンションだからコミュニケーションは気にしないでは快適に暮らせません。
※誰も言葉に出して言っているわけではないが付き合ってみて感じます


あとがき

何事も経験と思い引き受けたマンション管理組合の理事長でした。
この経験は私にとって大きかったなと思っています。

理事長在任中に転居を考えはじめました。
とんとん拍子にいい物件にめぐり合い、2年後に戸建に移りました。

以前のマンションには、よい思い出もあります。
マンションのいい面もあるからです。
いまのように落ち着いてしまっていると、もうマンションに住むことはないと思えて、なんとも寂しいものです。

難しいことを引き受けると大変ですが、全うすればいい経験になります。
経験知があがり自分のためにもなります。

そうしてひとつの経験から次の展開が始まるのかな、と思います。


この記事が参考になれば幸いです。