中古車の「支払総額義務化」が10月から施行されます。
自動車公正取引協議会(自動車公取協)が、中古車価格の支払総額表示を販売店に義務付ける「自動車公正取引規約・規則改正案」を決めたのが、昨年7月のことです。
その後、公正取引委員会や消費者庁の認定と承認を経て「自動車公正競争規約・同施行規則の改正」2023年10月施行に至りました。
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ビッグモーターの不正が明るみになる前から動きがあったようです。
これで、悪徳業者が一掃されるといいですね。
悪徳業者の価格表示はここに注意
中古車を買う際、複数の業者を回ることで、気付くのは価格表示の違いです。
健全な業者を回れば、悪徳業者はすぐに分かります。
車両価格が安く、諸費用が高い、というのが特徴です。
例えばざっくりですが、通常の相場で、車両価格80万、諸費用10万、の中古車に対して、車両価格60万、諸費用40万、の表示をします。
支払総額は、通常相場では90万、悪徳業者は100万、といったことになります。
こうした表示は、中古車専門で全国展開している業者に顕著です。
※筆者の地域では数年前、こうした表示の中古車業者が目に付いた
まず、諸費用のなかの整備費用が極端に高い特徴があります。
交換する必要のないパーツまで交換することにして価格を吊り上げることは常套の手口です。
また、諸費用の内訳に不適切な項目があったりします。
納車準備費用があったら、おかしいと言えます。
これは諸費用とは言えません。なにを準備するのか不明です。
通常は、納車整備費用や納車費用の項目がありますから、納車準備費用があったら二重取りです。
洗車・クリーニング費がある場合も注意した方がいいです。
物を販売するのに奇麗にして渡すのは「当たり前」という常識がないと疑われます。
※中古車相応の汚れであっても、気にする購入者がいるので、特に別途で頼む場合に発生するもの
※車内の汚れやシートの特定のシミを除去する作業は、これにあたる
さらに、諸費用の内訳として必要な項目であっても、少しずつ高いということもあります。
こうして、安い車両価格に惹かれてきた客から、高い諸費用を設定して大きな利益を得ようとします。
「車検あり」で納車整備費用が高いなら注意
車検が残っている車なら、それは基本的に整備済みということです。
最近まで運行していて法定整備していた車なら、仕入れてそのままでも転売できる状態のはずです。
そこに納車整備費用として何万円もかかるというなら疑ってみましょう。
仮に、仕入れてから1年も売れずに在庫として寝かしていたのであれば、納車整備費が高くなることはあります。
この場合でも、劣化するオイルやゴム製パーツの交換くらいが加算される程度です。
こうした場合に、納車整備費が10万となっていたりしたら、おかしいことは明らかです。
逆に車検が切れている車は、車検を取って納車するので、「車検整備つき」の表示になります。
この場合、車検整備の一項目の車検整備費用では、基礎的な技術料が5万円前後、それに劣化のため交換が推奨される部品代と工賃が加算されます。
なので平均的な車検整備費用は10万くらいでしょう。
※法定費用は実費なので別にかかる
「車検整備つき」と比較しても「車検あり」の納車整備費が10万などというのは、明らかにおかしいですね。
「車検あり」で納車整備費用が高いなら注意しましょう。
悪徳業者は、こんな常識的な「イロハ」も分からなかったりします。
※分からないというより、そもそも話が通じない感じ
店頭で説明を聞いてみて、少しでも他の店と違うと感じたら、相手のペースにはまらないように距離をとって、即決しない方が良いでしょう。
メーカー系列ディーラーの中古車価格を確認することのすすめ
でも悪徳業者ばかり回っていては、価格表示の違いなどが分からないと思います。
中古車専門で全国展開している業者ばかりではなく、メーカー系列のディーラーを回りましょう。
メーカー系列のディーラーは新車販売に伴ない、下取りもします。
下取車は、自店舗で中古車として展示したり、系列の中古車センターで展示したりします。
新車の場合は、初回車検整備費用がかかりますが、ここは不明な料金はありません。
そして、ここで売られる中古車は、諸費用の内訳に不適切な項目はありません。
「車検あり」でも「車検整備つき」でも安心できる価格であると言えます。
ですから、先ずはメーカー系列ディーラーに中古車を見にいって説明を受けるといいです。
まとめ
記事の内容をまとめます。
まず、悪徳業者の価格表示は、諸費用の内訳に不適切な項目があることに注意しましょう。
つぎに、「車検あり」で納車整備費用が高いなら注意しましょう。
普通に考えて、平均的な車検整備費用は10万くらいなので、「車検整備つき」と比較して「車検あり」の納車整備費が10万などというのは、明らかにおかしいと言えます。
対策として、業者の価格表示の違いを知ることが必要です。
そのために、メーカー系列ディーラーの中古車価格の確認をおすすめします。
以上、ご紹介しました。
筆者は、悪徳業者が一掃されることを望んでいます。
自動車公正取引協議会の活動は意味のあることと思われます。
ただ、ビッグモーターもここの会員であることは知っておくといいでしょう。
さいごに
筆者はバイクショップの店長の経験があります。
新車の販売が中心で、下取りもします。
下取りした車両は中古車として販売するので、中古車販売の経験もあります。
中型二輪以上は車検があるので、整備して納車する考え方は四輪中古車と似ています。
筆者はまた、四輪中古車も何台か購入しています。
いくつも業者を回ったり、ネット検索もします。
この20年くらいで、中古車専門で全国展開の業者が増えてきて、中古車市場が拡大しています。
ただ、健全に発展しているとは言い難いと感じています。
市場が拡大しても、グレーな部分や闇があれば、良い業界とは言えません。
業界の健全化のために、中古車の「支払総額義務化」に期待します。
また、気づいたことがあれば記事にします。
訪問していただきありがとうございます。